【散文ss】私はロボットではありません

「ロボットじゃないってば」
これから先何百回も確認される

人工知能しか友達がいなくなる
血の色を教科書で知った子供時代

仲良しの意味に苦しむのは
どんなに進歩しても変わらない

そもそも進歩ってどこから進んだということ?
本当に進んでいるの?歩いていればまっすぐだと思い込むのはどうなんだろう?危険区域を裸足で駆けているだけだったらどうするの?今この瞬間に不完全なせいでみんな消えるかもしれないのに。
それでもいいやって笑うやつのためのエンターテイメントが先行配信されている。作り話にいつまでも踊らされている。それが一番安全だって知っている。けれども想像だけでも人は消えてしまうからフィクションだからってあぐらかいてたら寝首をかかれるって誰かの小説に書いてあった。

新しいSNSが毎秒生まれてみんな何百ものアカウントを持ちながら暮らしている。本物よりも蜘蛛みたいに。自分の巣をたくさん作っている。何百回もロボットじゃないって証明して、注目されるために真っ赤になった目玉でハッシュタグを食べている。

今日も私は増殖する。どこにいても不安だから。
たった一つでいいといいながら、一つじゃ足りなかったことも知っていて、本当に嫌になりながら、文明の恩恵を受けなきゃ生きていけない。

 

「ロボットじゃないってば」
これから先何百回も確認される